東京工業大学博物館

東京工業大学博物館(東京・大岡山)のnoteです。ここでは、展示品の解説や、刊行物など…

東京工業大学博物館

東京工業大学博物館(東京・大岡山)のnoteです。ここでは、展示品の解説や、刊行物などの情報を共有していきます。

マガジン

  • 展示解説

    東京工業大学博物館に展示中の収蔵品の解説を集めました。

  • 東工大の三大発明

    東京工業大学博物館に展示中の資料のうち、「東工大の三大発明」と称される研究に関する解説を集めました。 「東工大の三大発明」と呼ばれている研究成果には、水晶振動子に関する研究、フェライトに関する研究、ビタミンに関する研究があります。

  • 企画展示解説

    東京工業大学博物館の企画展示の解説を集めました。

  • 資史料館 とっておきメモ帳

    先端技術の開発だけではない、東工大の知られざる一面を紹介します。

  • 東工大と機械

    東京工業大学博物館に展示中の資料のうち、機械分野の研究・教育に関する解説を集めました。

記事一覧

フェライト研究 加藤与五郎・武井武

加藤与五郎・武井武によるフェライト研究フェライトとは、酸化鉄を主成分とする磁性材料で、戦前から戦後にかけてスピーカーやモーターの磁石、磁気テープやコンピューター…

森田清 「超高周波工学の樹立」

要約 森田清は1930年代に、東工大大岡山と筑波山頂間の関東平野を横断する超短波による初の通信実験を達成、均圧環付きマグネトロンを発明して安定なセンチ波の発生に成功…

絶対零度への挑戦 —木下 正雄 ・ 大石 二郎

絶対零度は-273.15℃ 高校の教科書に載っているこの数字の小数点以下2桁目の決定打を放ったのは東工大でした。 本学が大学(旧制)に昇格して間もない頃に新設された物理学…

オートファジーの仕組みの解明 ー大隅 良典

研究概要 オートファジーの歴史は、半世紀以上前に遡ります。1963年、ベルギーの生化学者のクリスチャン・ド・デューブ博士は、細胞が自身の細胞質成分の一部を膜で包み、…

「電気を通すプラスチック」の発見 ー白川 英樹

研究概要白川は、東京工業大学時代、神原周教授らに学びました。研究室では、助手の旗野昌弘らが1960年代初期からポリアセチレンの研究をしていました。当時のことを、白川…

電気計測器

展示されている電気計測器類は、長年にわたって電気電子工学科の学生実験室に設置されていたものです。1924(大正13)年や1925年に購入された米国Weston社製の直流電圧計お…

フェライト研究 加藤与五郎・武井武

フェライト研究 加藤与五郎・武井武

加藤与五郎・武井武によるフェライト研究フェライトとは、酸化鉄を主成分とする磁性材料で、戦前から戦後にかけてスピーカーやモーターの磁石、磁気テープやコンピューターの磁気ディスクなどに使われ、現在でもテレビやパソコン、携帯電話、ハイブリッドカーや風力発電など、電気・電子機器の小型・薄型・高機能化、省エネ・省資源化にも大きく寄与し、現代エレクトロニクス社会を根底から支えています。

フェライトは、193

もっとみる
森田清 「超高周波工学の樹立」

森田清 「超高周波工学の樹立」

要約
森田清は1930年代に、東工大大岡山と筑波山頂間の関東平野を横断する超短波による初の通信実験を達成、均圧環付きマグネトロンを発明して安定なセンチ波の発生に成功、そして、1950年代には山間部の発電所等へのマイクロ波無給電中継方式を開発するなど、当時はまだ未成熟技術であった超高周波工学分野を開拓して樹立すると共に、数多の人材を育成した。

研究業績要約
東京工業大学時計塔と筑波山頂間のマイクロ

もっとみる
絶対零度への挑戦 —木下 正雄 ・ 大石 二郎

絶対零度への挑戦 —木下 正雄 ・ 大石 二郎

絶対零度は-273.15℃

高校の教科書に載っているこの数字の小数点以下2桁目の決定打を放ったのは東工大でした。

本学が大学(旧制)に昇格して間もない頃に新設された物理学教室の木下正雄と大石二郎は、測定の中でも最も難しいとされる温度の精密測定に成功しました。

ドイツ滞在中に、日本の温度測定技術の未熟さを指摘された木下は、1932(昭和7)年に東工大に着任すると、大石を助手として呼び、温度の精

もっとみる
オートファジーの仕組みの解明 ー大隅 良典

オートファジーの仕組みの解明 ー大隅 良典

研究概要
オートファジーの歴史は、半世紀以上前に遡ります。1963年、ベルギーの生化学者のクリスチャン・ド・デューブ博士は、細胞が自身の細胞質成分の一部を膜で包み、消化酵素を含む小器官の「リソソーム」に運んで巾着状の小胞を形成し(オートファゴソーム)、分解する現象を観察し、オートファジーと名付けました。

オートファジー(autophagy)という言葉は、ギリシャ語で「自分」を意味する"auto-

もっとみる
「電気を通すプラスチック」の発見 ー白川 英樹

「電気を通すプラスチック」の発見 ー白川 英樹

研究概要白川は、東京工業大学時代、神原周教授らに学びました。研究室では、助手の旗野昌弘らが1960年代初期からポリアセチレンの研究をしていました。当時のことを、白川はこう記しています。

「神原・旗野グループは、多くの困難を克服しながら電気的・磁気的性質の研究を行い、世界に先駆けてポリアセチレンが典型的な半導体、すなわち有機高分子半導体であることを明らかにした。ただ、粉末を試料とする限り、諸物性の

もっとみる
電気計測器

電気計測器

展示されている電気計測器類は、長年にわたって電気電子工学科の学生実験室に設置されていたものです。1924(大正13)年や1925年に購入された米国Weston社製の直流電圧計および電流計・電力計などは、1923年の関東大震災後、蔵前から大岡山にキャンパスが移転した際に購入されたものだと考えられます。それが90年もの間、使用可能な状態で残されていたことは驚きです。

長年大事に使われてきた理由の一つ

もっとみる