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電気計測器

展示されている電気計測器類は、長年にわたって電気電子工学科の学生実験室に設置されていたものです。1924(大正13)年や1925年に購入された米国Weston社製の直流電圧計および電流計・電力計などは、1923年の関東大震災後、蔵前から大岡山にキャンパスが移転した際に購入されたものだと考えられます。それが90年もの間、使用可能な状態で残されていたことは驚きです。


長年大事に使われてきた理由の一つに、電気主任技術者制度があります。電気主任技術者は、事業用電気工作物の工事、維持、運用に関する保安の監督のため、設置者が必ず置かねばならない技術責任者です。電力事業者や鉄道会社などインフラ事業者には欠かせません。東工大の電気科卒業者は、特定の単位を取得すれば国家試験免除で実務経験のみで資格の取得が可能です。

電気主任技術者の仕組みについて歴史的に見ていきましょう。電気主任技術者は、1896(明治29)年の電気事業取締規則(明治29年5月9日逓信令第5号)により初めて規定されました。その第13条で、

「起某者ハ学識経験アル主任技術者ヲ置キ工事施工前其ノ履歴書ヲ添ヘ逓信大臣ニ届出ヘシ…」

とあるだけで、現在の国家試験による資格ではありませんでした。

その後、1911年3月29日に交付された電気事業法(明治44年法律第55号)の施行に先立ち制定交付された電気事業主任技術者資格検定規則(明治44年9月5日逓信省令第27号)で、従来の学歴による認定取得と、検定試験による資格の取得が規定されました。

このとき制定された電気主任技術者の資格等級は5等級(現行3等級)あり、従事できる電気事業の種類は以下のとおりです。

  第一級  電気供給事業および電気鉄道事業
  第二級  15000ボルト以下の電気供給事業および電気鉄道事業
  第三級  低圧又は高圧の電気供給事業および電気鉄道事業
  第四級  低圧又は高圧の電気供給事業
  第五級  低圧の電気供給事業

認定取得について記した第四条では、東京高等工業学校のおかれていた当時の状況を知ることができますので、以下に紹介します。

第四条 元工部大学校および八帝国大学に於て電気工学を専修しその卒業証書を有する者、又は電気工学に関し工学博士の学位を有する者は第一級の資格を有するものとす。
元東京工業学校又は高等工業学校に於て電気機械工学を専修しその卒業証書を有する者は第三級の資格を有するものとす。

帝国大学と高等工業学校の間には歴然とした格差があったことが伺えます。これがその後の大学昇格運動につながっていく一つの原動力となったのでしょう。

現行の電気事業法(昭和39年7月11日法律第170号)では、電気主任技術者の等級は3等級で、資格の取得には、国家試験による資格取得と、認定校における単位取得と実務経験による認定取得の両方があります。学校等の認定基準は、電気事業法の規定に基づく主任技術者の資格等に関する省令(昭和40年通商産業省令第52号)に基づいて、電気主任技術者免状に係る学校等の認定基準に関する告示(現在有効なものは、平成22年4月1日から適用の経済産業省告示第71号)に教員数や実験設備等について細かく規定されています。

そのなかの測定用設備及び計器類設備には、必ず設置しなければならない設備として、微小電流測定装置(2種類以上の検流計を含むこと)、直流電流計、交流電流計、直流電圧計、交流電圧計、単相電力形、三相電力計、単相電力量計があげられています。

東工大は認定校を維持するために、実験室にこれらの設備を長年にわたって設置し続けなくてはならなかったのです。そのために90年も前の計測記類も残ったのでしょう。

アンティークなデザインのアナログ計器類を、どうぞお楽しみください。

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