東京工業大学博物館

東京工業大学博物館(東京・大岡山)のnoteです。ここでは、展示品の解説や、刊行物など…

東京工業大学博物館

東京工業大学博物館(東京・大岡山)のnoteです。ここでは、展示品の解説や、刊行物などの情報を共有していきます。

マガジン

  • 展示解説

    東京工業大学博物館に展示中の収蔵品の解説を集めました。

  • 東工大の三大発明

    東京工業大学博物館に展示中の資料のうち、「東工大の三大発明」と称される研究に関する解説を集めました。 「東工大の三大発明」と呼ばれている研究成果には、水晶振動子に関する研究、フェライトに関する研究、ビタミンに関する研究があります。

  • 企画展示解説

    東京工業大学博物館の企画展示の解説を集めました。

  • 資史料館 とっておきメモ帳

    先端技術の開発だけではない、東工大の知られざる一面を紹介します。

  • 東工大と機械

    東京工業大学博物館に展示中の資料のうち、機械分野の研究・教育に関する解説を集めました。

記事一覧

『宝島』のスティーブンソンに『吉田松陰伝』を書かせたのは誰か

それは 松下村塾最後の門下生で,本学の前身である東京職工学校の初代校長を務めた正木退蔵だった 正木退蔵(1846~1896)は萩に生まれ,幕末期に吉田松陰の松下村塾に通…

ディーゼル車の弱点を瞬時に見抜き解決した技術者

ディーゼルエンジンのグロープラグを革命的に効率化したのは本学出身の伊東孝彦で,彼は発熱体の熱容量とエネルギー収支の関係を知り尽くしていた。学生企業家の先駆けでも…

社会人アカデミーのルーツを辿る

日本で最初の官立の夜間学校が設立されたのが今から117年前の明治32年(1899)。卒業式には文部大臣の祝辞があった。この夜学こそが本学の社会人アカデミーの源流だ。浅草…

本学の英語名称・略称・合言葉の変遷

英語名がTokyo University of Engineeringという時代があった 外国での自己紹介でTokyo Institute of Technologyと言うと"Oh, Tokodai"という返事が返ってきて驚くことが…

先輩の目を通してみた戦後の東工大史

戦争に行かずにすんだ そのぶん変革の荒波は進んで被った 同窓会の会合で最年長者として挨拶に立った人(田中良平)がいた。28年前(1986)に定年退職した名誉教授だが,…

陶器コレクション

日立ソリューションズ㈱からの寄贈を契機に陶工濱田庄司とその時代を振り返る コーヒー豆や茶葉にこだわる人は少なくない。そのこだわりをいっそう引き立てて至福のひとと…

『宝島』のスティーブンソンに『吉田松陰伝』を書かせたのは誰か

『宝島』のスティーブンソンに『吉田松陰伝』を書かせたのは誰か

それは 松下村塾最後の門下生で,本学の前身である東京職工学校の初代校長を務めた正木退蔵だった

正木退蔵(1846~1896)は萩に生まれ,幕末期に吉田松陰の松下村塾に通った。師の松陰は安政の大獄で捕らわれ,29歳で刑死してしまうので(1859),門下生だった期間はわずか半年ほどだったが,多感な11歳の時で大きな影響を受けたと思われる。

その正木は24才から34才までの大半を英国で過ごした。最初

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ディーゼル車の弱点を瞬時に見抜き解決した技術者

ディーゼル車の弱点を瞬時に見抜き解決した技術者

ディーゼルエンジンのグロープラグを革命的に効率化したのは本学出身の伊東孝彦で,彼は発熱体の熱容量とエネルギー収支の関係を知り尽くしていた。学生企業家の先駆けでもあった。

非業の死を遂げた父に代わって一家の生活を支えるために,伊東孝彦は高校を卒業するといったん電池会社に勤めた。問題を解決したり新しいアイディアを出したりするたびに,「大学も出ていないのに生意気だ」といわれたことに発奮し,本学に入学し

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社会人アカデミーのルーツを辿る

社会人アカデミーのルーツを辿る

日本で最初の官立の夜間学校が設立されたのが今から117年前の明治32年(1899)。卒業式には文部大臣の祝辞があった。この夜学こそが本学の社会人アカデミーの源流だ。浅草蔵前の地で灯された夜学の火は,麻布三の橋を経て,田町に引き継がれ,社会人教育の先駆けとなってきた。

大隈重信内閣の時に,大隈と親交のあった手島(てじま)精一は大隈を説得し,閣議にまで特別に出席させてもらい,工業補習学校の設立にこぎ

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本学の英語名称・略称・合言葉の変遷

本学の英語名称・略称・合言葉の変遷

英語名がTokyo University of Engineeringという時代があった

外国での自己紹介でTokyo Institute of Technologyと言うと"Oh, Tokodai"という返事が返ってきて驚くことがある。年配の方で日本に留学経験のある人にとっては,Tokyo Institute of Technology (Tokodai) だったようだが,2004年の国立大学

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先輩の目を通してみた戦後の東工大史

先輩の目を通してみた戦後の東工大史

戦争に行かずにすんだ そのぶん変革の荒波は進んで被った

同窓会の会合で最年長者として挨拶に立った人(田中良平)がいた。28年前(1986)に定年退職した名誉教授だが,大学の重要な出来事に関わり,百年史(1881~1981)の編集にもかかわったとなると,資史料館にとってはVIPだ。さっそくインタビューをお願いし,本稿をまとめた。

良平さんは,千葉県の津田沼で生まれ育ち,盛岡の工業専門学校時代に

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陶器コレクション

陶器コレクション

日立ソリューションズ㈱からの寄贈を契機に陶工濱田庄司とその時代を振り返る

コーヒー豆や茶葉にこだわる人は少なくない。そのこだわりをいっそう引き立てて至福のひとときをもたらしてくれるのが器だ。香りや口あたりまで,心なしか上質にしてくれる。誰かと向かいあって器を手にしていれば,小説のような世界が広がる。このような器に魅せられ,陶芸の道を究めたいと思った先輩たちがいる。窯業科を最初に作ったのが本学で,

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