マガジンのカバー画像

展示解説

40
東京工業大学博物館に展示中の収蔵品の解説を集めました。
運営しているクリエイター

#発明

高安定水晶振動子の実現 古賀逸策

 板状の水晶に交流の電圧を加えると、水晶板の大きさに応じた、ある固有の周 波数で電気信号が強調される。この性質を利用した〈水晶振動子〉という小さな 部品は、私達の身の回りにある、通信機器や時計などの電子機器に用いられている。 古賀逸策は、この水晶振動子の高精度化と実用化を飛躍的に進めた。この水晶の性質は 1922年ケイディーによって発見され、翌1923年にはピアースが真空管と組み合わせ、無線通信に利用する発信回路を開発する。1929年、東京工業大学助教授となった古賀は、その将

フェライト研究 加藤与五郎・武井武

加藤与五郎・武井武によるフェライト研究フェライトとは、酸化鉄を主成分とする磁性材料で、戦前から戦後にかけてスピーカーやモーターの磁石、磁気テープやコンピューターの磁気ディスクなどに使われ、現在でもテレビやパソコン、携帯電話、ハイブリッドカーや風力発電など、電気・電子機器の小型・薄型・高機能化、省エネ・省資源化にも大きく寄与し、現代エレクトロニクス社会を根底から支えています。 フェライトは、1930(昭和5)年に東工大の加藤与五郎教授(1872-1967)と武井武助教授(18