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合成ゴム・合成繊維の開発 ー神原周

神原周(1906-1999)は、東京に生まれました。1930年早稲田大学理工学部応用化学科を卒業後、本学松井元太郎教授の助手となり、イオウの物性測定の研究に従事しました。特徴ある応用化学科を育てることを提唱し、自らゴム研究室を主宰していた田中芳雄教授(東京帝国大学教授兼任)に請われて、1934年、研究室を移りゴムの研究をはじめました。これを契機に、広く高分子科学の発展に貢献することになります。

第2次大戦中1, 3-二塩化プロパノール-2と四硫化ソーダから耐熱、耐油性にすぐれた新しい型の多硫化系合成ゴムを開発し、これと金属酸化物を混合し、加熱成型により当時きわめて要求の高かった耐熱、耐油性パッキングを開発し、量産への道を開きました。

1939年、アメリカのデュポン社で発明されたナイロンに刺激された合成繊維の研究を行い、これまで困難であったポリアクリロニトリルを硫酸に溶解、紡糸する方法を開発しました。1941年、得られた合成繊維を「シンセン」と名付けます。この方法は、戦後旭化成工業(株)に引継がれ、国産技術として最初のアクリル系合成繊維「カシミロン」の工業化に結実していきます。

1839年にC. Goodyearにより発見されたゴムとイオウ(硫黄)を混練、加熱するいわゆる「加硫」工程が、現在でも多くのゴム製品の基本技術となっています。

神原は、加硫天然ゴムの過酸酸化物の中から結晶性生成物を単離し、構造解析によりゴム分子間に存在するイオウの架橋構造を確認しました。この研究は国際的にも高く評価され、日本化学会・日本ゴム協会よりオーエンスレーガー賞を授与されました。

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