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本多式熱天秤

本多式熱天秤は、本多光太郎(1870-1954年)が1915(大正4)年に高温度における物質の化学変化ならびに物理変化を連続的に測定するのに便利な装置として、世界に先駆けて創案・命名され、仙台市在住の成瀬器械店(現在、成瀬器械株式会社)によって制作・販売、終戦前、東北大学金属材料研究所による検定証が付けられました。

太平洋戦争後、本学の資源化学研究所がこの熱天秤を購入し、舟木好右エ門(1909-1988年、後に本学教授・資源化学研究所所長)・佐伯雄造研究室で新金属資源の化学的利用に関する研究に使用されました。その後、熱測定、特に熱分析を多方向から研究してきた工業材料研究所(現応用セラミック研究所)の齋藤安俊教授に移管され、齋藤教授定年退職(原子炉工学研究所)に伴い、本学博物館に寄贈されました。

創案当初の熱天秤にはいくつかの改良が加えられ、電磁力応用型、上皿型、さらには新しい種類も提案されましたが、本多式熱天秤にみられる創意と工夫は、微に入りわたる行き届いたもので、現在の市販熱天秤にとって根底となるすべての特性に注意が払われています。本学においても、本多式熱天秤は無機工業化学、分析化学、窯業、建築用木材などの研究分野で広く使用されました。

なお、展示している本多式熱天秤は、国際熱測定連合国際会議(2012年8月20-24日)が日本で開催されるにあたり修復され、本多光太郎の最初の実験である硫酸マンガンの2段階脱水過程の再現実験を行い、正確な測定を行えることが実証され、測定可能状態で存在する唯一の測定装置であるといえます。

またこの熱天秤は、第4回分析機器・科学機器遺産認定事業(2015年)において、分析機器・科学機器遺産に認定されました。この認定制度は、日本で創出された分析技術・分析機器や科学機器および日本国民の生活・経済・教育・文化に貢献した分析技術・分析機器や科学機器を文化的遺産として後世に伝えることを目的に、社団法人日本分析機器工業会と一般社団法人科学機器協会により、2012年に創設されたものです。


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