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ホログラム

ホログラフィーは、1948年、ハンガリー生まれの物理学者デニス・ガボール (Dennis Gabor, 1900-1979)によって発明されました。電子顕微鏡のレンズに固有の球面収差を光の技術で補正して、分解能を高めることを提案したのでした。

被写体からの光を写真に記録するとき、写真には光のエネルギー(強度)が記録され、光の波としての性質は失われてしまいます。このため、通常の写真では性能の良いレンズを使って被写体の像をつくり、焦点を合わせて撮影しなければなりません。これに対してホログラフィーでは、光の「干渉」と「回折」の現象を利用して、波としての性質(波面)を記録します。

ホログラムを再生すると、記録したときと同じ状態の波が再現されます。ガボールはこれを「波面再生技術」と呼び、電子顕微鏡の像をホログラムとして記録し、これを光で再生するとき、適当な光学系を用いて像を補正することを考えたわけです。

また、レンズを使わないでホログラムを撮影すれば、再生のときにピントを調整したり、像を補正するといったことができるのです。したがって光を波として記録すれば、物体から反射された光をそのままに再生できるので、立体像のディスプレイへの応用にも発展していきます。

当館展示中であるホログラフィー映画研究試作1号機は、完全な立体像を持つ「ホログラフィー」を応用した映画(アニメーション)の制作を目指し、1991(平成3)年に完成した世界で初の試みです。

ホログラフィー動画研究はそれ以前からありましたが、ストーリー展開や、ヒューマンインタフェースを考慮した鑑賞のしやすさ、実用的な耐久性を目指した初めての企画となっています。

ホログラフィー映画研究※は、本学卒業生である樋口和人氏(当時、NTT研究所)が主体となり、多摩美術大学、石川光学造形研究の協力により、1990-1996年の間に展開・作製されました。当館展示中である1号機は 92年に一般公開され人気を博し、その後も唯一観察可能な状態で動態保存されて来た物です。

※参考 ホログラフィー映画研究 
東工大博物館では、これらの試作機のうち、1号機のみを所蔵しています。

<ホログラフィー映画研究 プロジェクト>
1号機(ホログラム円筒接眼方式)   少年のORGEL I
2号機(35mmフィルム、長尺化実現) 少年のORGELⅡ
3号機(35mm、パルスレーザー撮影) 人物等動画実写
4号機(35mm、スクリーン投与方式) アニメーション
5・6号機(35mm、カラー化研究)   アニメーション
(スタッフ)
 研究主体・監修:NTT研究所主任研究員口和人 (東京工業大学大学院修士課程総合理工学研究科物理情報工学専攻昭和52年修了)
 コンテンツ制作:多摩美術大学檜山研究室
 監督:檜山茂雄、音楽:宮崎尚志、撮影:大原共子、アニメーター:村穂秀児
 機構設計製作:石川光学造形研究所

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