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建築物の地震時の挙動を表現する振動台 -谷口忠

地震動を模した振動台を作成して、建築物またはその模型について実験しようとする計画は200年程前から試みられ、我国でも濃尾地震(1891年)以来、正弦波(正弦曲線の形を保ちつつ一定の速さで進む波)による振動台は作成され使用されてきました。

東京工業大学建築学科の教授、谷口忠(1900-1995年)は、地震動が突然始まり、建築物に対し過渡現象としての不規則振動を与える問題が、建築物の地震破壊の重要な要因であることに早くから着目し、実際の地震と同様な動きをする振動台の制作に尽力しました。

振動台の目的には、実物に近い模型の破壊実験と、複雑な建築物の振動解析のためのいわば機械的アナログ計算機としての用法があり、この振動台はその後者の目的で造られました。回転するホイール(車輪)には関東地震(1923年)の東京本郷での地震記象(地震計に記録された地震動の波形記録)を模したガイドレール(誘導レール)があり、これに倣って台を動かしています。他にもやや大型の振動台が造られ、規則的な動きではあるが振幅が突然大きくなる装置で、実大模型の破壊実験に用いられました。

これらの振動台は、1960年代(昭和30年代後半)の電子計算機の普及・油圧制御による振動台の出現まで、建築物の地震応答研究に大いに活用されました。近年、電子工学・制御工学の発展によって性能のよい実地震動を模した振動台が造られ、また解析的にも計算機の利用は目覚ましいものがありますが、谷口の研究はその基礎をなしました。

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