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展示解説

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東京工業大学博物館に展示中の収蔵品の解説を集めました。
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#ノーベル賞

オートファジーの仕組みの解明 ー大隅 良典

研究概要 オートファジーの歴史は、半世紀以上前に遡ります。1963年、ベルギーの生化学者のクリスチャン・ド・デューブ博士は、細胞が自身の細胞質成分の一部を膜で包み、消化酵素を含む小器官の「リソソーム」に運んで巾着状の小胞を形成し(オートファゴソーム)、分解する現象を観察し、オートファジーと名付けました。 オートファジー(autophagy)という言葉は、ギリシャ語で「自分」を意味する"auto-"と「食べる」を意味する"phagein"に由来します。しかし、生化学的解析など

「電気を通すプラスチック」の発見 ー白川 英樹

研究概要白川は、東京工業大学時代、神原周教授らに学びました。研究室では、助手の旗野昌弘らが1960年代初期からポリアセチレンの研究をしていました。当時のことを、白川はこう記しています。 「神原・旗野グループは、多くの困難を克服しながら電気的・磁気的性質の研究を行い、世界に先駆けてポリアセチレンが典型的な半導体、すなわち有機高分子半導体であることを明らかにした。ただ、粉末を試料とする限り、諸物性の測定には限界があった」 (白川英樹「現代の錬金術-電気を通すプラスチック」IL